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今回お預かりしたのは、スティーヴ・ヴァイのシグネチャーモデル Ibanez JEM7VP。
新品の状態のきれいな状態でしたが、
今回のオーナーは、さらに独自のプレイフィールを追い求め、
全フレットのスキャロップ加工とステンレスフレットへの交換をご依頼くださいました。
指定されたのは Jescar 55090S。
幅がとても狭く、背はジャンボに近い高さのフレットです。
硬質なステンレス材は耐久性に優れ、長期にわたって安定した演奏を支えてくれます。
エボニー指板はメイプルよりも硬く、スキャロップ加工の感触も異なります。



スキャロップ加工は「深すぎず浅めで良い」とのご希望でしたので、
インレイへの影響を心配することなく進められました。
とはいえ、作業は体力勝負。集中力を切らさず、一気に削り込む時間はまるで修行のようです。
必ずと行っていいほど指先に水ぶくれができるんです。



削り終えた後のフレットすり合わせ、磨き上げ、そして指板へのオイル仕上げ。
工程を重ねるごとに、楽器が新たな表情を見せていきます。



仕上がった指板は深い艶を帯び、ステンレスフレットの輝きと相まって、
まるで新しい楽器に生まれ変わったかのよう。
弦を押さえた瞬間に指先へ伝わる軽快さは、
オーナーの求めていた「独自のプレイフィール」を実現しています。



スキャロップを好むオーナー様はどなたもリピートが多いです。
所有しているギターをすべてスキャロップする勢いです。